アイヌの神話 神威のあらわれ方
- 作者: 稲田浩二
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/05
- メディア: 文庫
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「(神の)去っていく音が鳴り響いた。その音をよくよく聞くと、その神は軽い神だったようだ。
(中略)
またのある日、遠くの島のいただきに多くの雲が群たち、神のやって来る音が鳴りわたる。先に来たものにくらべ、本当の偉い神、怖ろしいほどの神、この国土の底を鳴り響かせ、村里も崩れ落ちるばかりだ。神はどんどんやって来て、私の育つ山城、山城の頂きに神駕を掛けた。そして神のもの言う声が美しく響いた。
──44P.17L. 日の神救出」
『アイヌの昔話』を読んでると、神様がバンバン出てきます。
で、神様が現れる時は、たいてい雲が沸き立って風が吹いて、とどろくような音がするんですが、その音で「軽い神」か「重い神」かを判断することができるようです。
やっぱり「重い神」だと重低音なんでしょうか。
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「すると天空が響きわたり、重々しい神が降ってくる音がごうごうと鳴る。
(中略)
すると、神の櫓の上に人のとび降りる音がどんと鳴った。そして、竿梯子の上に何者かが踏み降ったように思われた。その者はやがて静かに、戸の垂れを肩に掛けて入ってくる。その瞬間、神の稲妻が家の中にぱっと光る。垂れた髪の間からのぞいてみると、年若の者が、神のおももちで、家の中まで光り輝かせて入ってきたのだ。
──58P.17L. 魅惑のアイヌラックル」
この、神様が家の上に天降ってくるところとかいいですね。まだ姿の見えないうちから、「重い神様」が近づいてくるのがひしひしと感じられます。
セッションで強力な精霊の出現を表現するときに、音の描写を入れるのも効果的かも。