クトゥルフ・ダークエイジ顛末 その3
放置しっぱなしのクトゥルフ・ダークエイジ・プレイリポート。永久放置プレイの危機を脱してここに復活。
復活を遂げた騎士ローランド。かつての救い主の復活にわき返る村。ローランドは村の司祭マルティンとともにグロースロイツへ向かったという。
一泊してからグロースロイツへとんぼ返りすることにした一行は、司祭の蔵書から事件の真相の一端をつかんだ。
急転する事態。しかし、解けぬ謎はまだ残っていた。
【プレイヤーキャラクター】
自由騎士 グントベルト3世:騎士道一直線男。IQは多分低い。
家令 セバスチャン:怪しいイギリス訛りのドイツ語をしゃべる従者。グントベルトの司令塔
司教秘書官 ウィリアム:ラテン語を読めない人間を虫ケラ並に見る教養至上主義者
傭兵 シュヴァルツヴァルト:大切な何かを失ってしまった大人たちを冷静に見つめる少年
物騒な本を読みふけるウィリアムを放っておいて、そうそうに床をとったシュヴァルツヴァルト。
しかし、クトゥルフ世界で安らかな眠りなどというものがそうそう訪れてくれるわけがない。シュヴァルツヴァルトは、暗闇の中に一人で立っている自分を発見した。
暗闇の中に灯る松明。その間に仮面の男が現れる。
「少年よ……お前は槍を使うのが得意なようだな。しかし、その槍であの騎士を倒すことはできないぞ」
仮面の男が右手に握った槍を挙げてみせる。全体が鉄で作られた、あの黒い槍だ。突然、仮面の男の手から槍が放たれた。シュヴァルツヴァルトの持つ槍は虚空へと弾き飛ばされ、代わりに黒い槍が握られた。
「やつは世の常の武器で倒すことはできぬ。黒の剣と槍を使うのだ」
ハッと目を覚ましたシュヴァルツヴァルトは自分の手に目をやる。そこに槍はなかった。思わず息を漏らす。
傭兵のクセにというか、だからこそというべきか、安全第一を信条とするこの少年は、人の生気をすすりとる物騒な武器など手にするつもりは毛頭ない。
夢で見たことは胸の中にしまっておこうと思うシュヴァルツヴァルトだった。
シュヴァルツヴァルトがそんな夢を見ていたことなど露知らぬ一行は、グロースロイツへとんぼ返りする前に慌ただしく教会の家捜しをしていた。
「教会年誌の絵にあるように、黒い槍は強力な武器になるはず!」
ウィリアム、自分が使うワケじゃないから、物騒だろうがなんだろうが、強力な武器は大歓迎である。
結局、黒い槍は教会の物置で発見された。が、黒い槍を持つことを断固拒否するシュヴァルツヴァルト。しかたなしに矛先をかえるウィリアム。
「騎士殿、教会年誌の絵図をご覧あれ。これ、このように騎士とその従者が悪魔に立ち向かうために黒の剣と槍を携えている。騎士は剣。従者は槍。すなわち、あなたの忠実な従者こそ、槍を持つにふさわしい方なのです!」
騎士を丸め込んで、従者に槍を持つように命じさせるウィリアム。従者も主の命令では逆らえない。こうして魔を滅ぼす剣と槍を手にした一行は、グロースロイツへと急ぎ旅だった。
グロースロイツへ着くと、街の様子は一変していた。
ひきも切らずにやってくる馬車、騎乗の旅人、領主の館から聞こえてくる楽の音。街では時ならぬ祭りが催されているようだ。
「領主様の元を、司祭を連れた聖なる騎士殿が訪れられたのです。領主様の館では歓迎の宴が開かれています」
祭りに浮き立つ住民によると、方々に使いが出され、歓迎の宴に参加するために客人たちはこれからどんどんつめかけてくるだろうという。
急いで領主の館へと向かう一行。館の中は笑いさざめく人々の声と、楽の音が波のようにうち寄せてくる。
酒宴が開かれているホールには街の貴顕が集まり、和やかに杯を交わしていた。そして、主賓の席には波打つ金髪も美しい一人の騎士が座っていた。