用心棒日月抄キャンペーン in ヴァンパイア・ザ・マスカレード

用心棒日月抄 (新潮文庫)

用心棒日月抄 (新潮文庫)

故あって人を斬り、脱藩した青江又八郎。江戸で糊口をしのぐための用心棒稼業。
国元の筆頭家老大富は、藩主毒殺の密談を漏れ聞いた又八郎の元へ次々と刺客を放つ。
又八郎の胸に去来するのは国許に残した許嫁由亀の姿。又八郎は、陰謀に加担した由亀の父を斬ってしまったのだ。
時は元禄。巷間を騒がす赤穂浪人の隠れた動きが活発になるにつれ、請負う仕事はなぜか、浅野・吉良両家の争いの周辺に……。浅野方だけではなく、吉良方の仕事まで!
はたして、赤穂浪士との関わりは、どんな結末を迎えるのか。そして、国許の陰謀の決着は?


時代小説だって、シナリオのネタになる!
と、いうわけで、今日は藤沢周平さんの『用心棒日月抄』をVtMのシナリオにあつらえてみる。
いぇー。

『用心棒日月抄』って?

『用心棒日月抄』は、藤沢周平の名品時代小説。ワケあり脱藩浪人・青江又八郎が、口入れ屋(斡旋業者)から斡旋してもらった用心棒の仕事をこなしていくのがメインストーリーで、短編連作の形式を採っています。
基本的には一話ごとに口入れ屋から様々な依頼を受ける一方で、サブストーリーの国許の藩主毒殺の陰謀と赤穂浪士たちの活動が交差して、長編の流れを作っています。この辺りが、キャンペーンシナリオのネタに向いてるんじゃないかなーと思うわけですよ!
図にするとこんな感じ↓。

美事なまでにそのままな置き換えです。

舞台

カマリリャサバト競合都市 ボストン:

北部諸州のサバトがおこなった対カマリリャ都市大攻勢の結果生まれた競合都市。長い統治の歴史があるために今でもカマリリャが優勢だが、都市の外縁部から郊外はサバトの優勢地域に組み込まれ、かつてのような完全な都市掌握は望むべくもなくなっている。
現在のところ、カマリリャサバトも都市を完全には掌握できていない。その間隙をつくように両勢力の緩衝地帯にアナークが流れ込み、ある程度の勢力を築いている。また、独立氏族も都市のあちこちに拠点を構えており、彼らの動向もボストンの勢力図に無視できない影響を与えている。
全域に支配権を及ぼせなくなったとはいえ、依然としてボストンは北部諸州屈指の巨大都市である。今でもボストン公子は近隣の衛星都市に大きな影響力を持っているが、サバトの支配地域に取り囲まれた現在、その力は徐々に弱まっている。

コメント:

用心棒という荒っぽい仕事が成立しうる舞台ということで、カマリリャサバトの競合都市を想定しています。
このキャンペーンでは、ボストンはカマリリャサバトの二大勢力だけでなく、アナークや独立氏族までが入り乱れる混沌とした状態になっています。そのためボストンではさまざまなもめ事が生まれ、PCたちの仕事のタネとなっています。
ちなみにV:tMのオフィシャル設定とは関係ありません。

プレイヤー・キャラクターの立場

用心棒の日々:

住み慣れた自分たちの街を出奔し、ボストンに身を潜めながら身過ぎのために仕事をこなす用心棒がPCの立場です。
彼らはアーカムから放たれる追っ手(下記『サブストーリー2 アーカム公子休眠化計画』参照)の目をくらますために、半ば無法地帯となっているアナーク緩衝区に居を構えています。
ボストンのカマリリャサバトのメンバーの目から見れば、PCたちは最近巷に増えているアナークの1人と言うことになるでしょう。

コメント:

PCの立場は、『東北の小藩から脱藩してきた浪人者が、口を糊するために用心棒を請け負う』という、原作の立場をそのまま引き写しています。
そのためPCは、毎回斡旋業者である口入れ屋から回されてくる仕事をこなすのがメインストーリーとなります。
ただ、毎回サブストーリーが深浅の差はありつつもメインストーリーに関わってきて、各セッションに彩りを与え、キャンペーン全体の流れを形作っています。
サブストーリーについては以下を参照ください。