サブストーリー1 プロヴィデンス公子奪回作戦


『用心棒日月抄』の2つのサブストーリーの1つ、赤穂浪士の仇討ちをV:tM風に換骨奪胎してみる。

主な登場NPC

元公子 アルスキー:

プロヴィデンス公子。ボストンのエリュシオンで彼(と彼の配下)を侮辱した宮廷雀キャステンを半殺しにしたために取り押さえられた。現在はキャステンの私邸に休眠状態で幽閉されている。

宮廷雀 キャステン:

ボストンの宮廷雀。狂乱したアルスキーに半殺しにされた。なんとか一命はとりとめたものの、衆目の前で殴り殺されそうになったことが我慢ならなかった彼は、杭を打ち込まれたアルスキーを「保護」する役目を申し出た。
しばらくは私邸に引き取ったアルスキーを眺めて溜飲を下げていたが、自分がアルスキーの子らの憎悪の的になっていることに気づいてアルスキーの「保護」任務からの解任をボストン参議会に願い出た。が、憎悪の矛先をキャステンに逸らそうと目論む参議会によって却下され、遅蒔きながら私邸に用心棒を雇い入れて警備を固めている。

家令 オルロフ:

アルスキーの長子。ブルハーらしからぬ沈着な人柄で、プロヴィデンス・ブルハーのリーダー的存在。自分の父の奪回のために兄弟とともにプロヴィデンスを出奔し、ボストンのアナーク緩衝区に潜伏している。

口入れ屋 キャプテン・ギルマン

血族斡旋業ン十年のノスフェラトゥプロヴィデンス・ブルハー側にもキャステン側にもつながりを持つ油断のならない男。

ストーリーライン

ボストンの衛星都市プロヴィデンスは、ブルハーの公子アルスキーとその子らが政治の中枢を担う珍しい都市だった。
しかしあるとき、アルスキーがボストンを表敬訪問した際に宮廷雀キャステンに侮辱されて狂乱し、キャステンを半殺しにした末に取り押さえられるという事件が起こった。
ボストンでもっとも権威あるエリュシオンで騒擾を起こしたアルスキーは、胸に杭を打ち込まれて幽閉されてしまった。
ボストン参議会はこれを好機としてプロヴィデンスの公子制を廃止し、代わりに代官を派遣することでプロヴィデンスの直轄化を目論んだ。
同胞を半殺しにされたトレアドールは「ブルハーが政治中枢に関わる危険性」を声高に唱え、ヴェントルーはトレアドールを煽る一方で氏族の者を代官として送り込むために画策していた。

プロヴィデンスに残されたアルスキーの子たちは、アルスキー幽閉に抗議して徹底抗戦の声まであがったが、長子であるオルロフの収拾によって代官派遣を受け入れた。
その後、オルロフは、いまだに幽閉されたままのアルスキーの釈放と、アルスキーを代官に就任させるよう、嘆願書をボストンへ送った。
しかし、今回の事件をプロヴィデンス直轄化の好機と見ているボストン参議会は彼らの要求を却下。さらに、キャステンがアルスキーの身柄の「保護」を願い出たことにも許可を与えた。

ここに至って、自分たちの要求がまったく拒絶されたことを知ったオルロフたちは、一夜のうちにプロヴィデンスから姿を消した。キャステンへの復仇とアルスキーの奪回のためにボストンへ乗り込み、アナーク緩衝区へ潜伏したのである。

ボストンの政治中枢に関わっていない血族の間では、アルスキーとキャステンの処遇の不公平さに反感を覚える者が多く、勢いプロヴィデンス・ブルハーたちには同情が集まっていた。彼らの間では、今晩にもキャステンの館にプロヴィデンス・ブルハーたちが殴り込みをかけるような噂がささやかれている。
これ以上の騒擾を好まないボストン中枢部(特にトレアドール)は、プロヴィデンス・ブルハーたちを取り締まろうと警吏の配下をアナーク緩衝区へと送り込み、彼らの行動を監視している。
その一方で、中枢部にもプロヴィデンス・ブルハーの同情派がおり(特にブルハー)、密かに彼らを援助している。
そんな中で、オルロフを中心としたプロヴィデンス・ブルハーたちの計画は、着々と進められていた。