『ロード・オブ・ウォー』を観た

h_nekozaki2006-01-15


ロード・オブ・ウォー』を観てきました。
すいません、めちゃめちゃ面白いんですけど。


主人公はユーリー・オルロフ。スーツにネクタイ、ブリーフケースに気弱げな目。冷蔵庫か掃除機でも売っていそうなこの男は、お得意さんから「戦争の王」の名を頂戴した武器商人です。
ブロンクスウクライナ人街出身の彼は、家業の料理屋を継がずに弟を相棒に武器商人を開業します。
たちまち天才的な才能を発揮し始めた彼は、武器禁輸令の抜け穴をくぐり、インターポールを出し抜き、崩壊した共産圏から武器を買い付けては、内戦を繰り返すアフリカを始め世界中に武器を売りさばきます。
あこがれの女性(ミス・アメリカらしいド美人)も射止め、商売も上向き。途上で弟はビジネス上のストレスに耐えきれずにリタイア。
ニコラス・ケイジ扮するオルロフは言います。
「俺の売ってるものは別に車やタバコなんかと変わりはない。毎日交通事故で人が死んでる。武器の方がよっぽど安全だ。
車を売ってる男が女房に仕事の話をするか?俺もしない」
輸出が禁止されてることを除けば、ビジネス上の手順は、武器も冷蔵庫も変わらないのかも知れません。ただ、引き起こす結果が違うだけで。
そして、天才的武器商人であるオルロフは成功に成功を重ねてシェアとカネを手に入れ、ついには……。
あとはできれば、映画館で観て欲しいです、はい。


つねに合法/非合法のボーダーラインで生きてる男を主人公にすえたこの映画、強烈なゲンジツをブラックユーモアにからめてバンバン打ち出して、客をグイグイ引っ張ります。
面白くて面白くて、必死でストーリーを追っかけるかたわら、オルロフがこの後どうなるのかをあれこれ予想してました。
ある意味しんどい映画でして、「この辺りに落ち着いてくれないかな。勘弁してくれないかな」とか予想(というか半分お願い)してたんですけど、そんな甘っちょろい期待はあっさり一蹴。
ラストはおそらく一番救いのないものです。
さんざんブラックユーモアで笑わせておいて、ズドーンと腹に来るラスト。
世界に5億5千万丁の銃があふれてる現実を前に、監督さんは安易なカタルシスなど許してくれませんでした。


そんなこんなでとてもイイ映画なので、ぜひ観たってください。
ちなみに、R-15指定です。
そりゃ、ちょっとすごいシーンはありますけど、バックに流れる考えは、そこらの映画よりよっぽど健全だと思うけどなぁ。