サラマンドラ退治 in D&D3e

h_nekozaki2006-03-18


「バーンダーさん。その助っ人とは連絡がとれたんですか?」
やや苛立った口調で聖騎士イリアがたずねた。
「うむ。君たちの仲間の……アーキーと言ったか……彼に指示された方法で連絡をとったんだが……」
デズモドゥ村の顔役・バーンダーはそう言うと、アーキーの残したメモに目を落とした。メモには『助っ人』との連絡方法と、“Miss.E”という名前だけが書かれていた。
「ホントに現れるのかな? 何しろ、教えてくれた当人もいないしねー」
皮肉な笑みを浮かべて魔術師ジャンが皆を振り返る。他の面々も、半信半疑の面もちだ。
彼らのパーティの一員だったノームのアーキーは、「急用が入ったから」と地上世界へ帰ってしまったのだ。長年探していた伝説の宝石だか金塊だかのありかが分かったのだという。
その彼が、代わりの助っ人として紹介したのが“Miss.E”だった。アーキーはすでに旅立っており、いささか心許ない話だった。
「彼もデタラメを言ったワケじゃないだろう」
バーンダーはメモから目を上げて、取りなすように言った。 
「しかし、こんな地底深くまで人間がたやすくは来られるとは思えないんじゃが……」
「既に来ている」
不意に背後から聞こえた声に一同が振り返ると、影のようにひっそり、女が立っていた。
黒い。影を溶かしたような装束を身にまとっている。
「あなたが“Miss.E”かね? しかし、一体どこからここへ……」
「詮索はそれくらいにして、用件を聞こう」
鋭い視線とともにバーンダーの言葉を遮ると、影のような女はおもむろに『仕事』にとりかかった。


突如現れた助っ人キャラ! シャドウダンサーのエッちゃんことエメルリアです。
シャドウダンサーは、影に潜み、影を操るプレステージ・クラス。ローグ(盗賊)×シャドウダンサー(影使い)のエッちゃんはまさに忍び。
隠密索敵がからっきしな我らがパーティにとっては、スポーンと抜けてた部分を補完してくれる貴重な人材の登場です。

パーティメンバー

アルザスクレリック/人間/♂)
イリア(パラディン/人間/♀)
エメルリア(ローグ×シャドウダンサー/人間/♀)
ジャン(ウィザード/人間/♂)
ディラン(モンク/人間/♂)
シェラザック(ブロンズドラゴン/♂)


助っ人登場

さて、大量虐殺を目論む邪神官たちを撃退した我らが冒険者
しかし、問題はまだ残っています。
サラマンドラの要塞に軟禁され、奴隷のようにこき使われているデズモドゥの使節団を救出しに行かなくてはなりません。
と、ここで選手交代のお知らせです。
ファイター×クレリック×ノームのアーキーくんから、ローグ×シャドウダンサー×人間のエメルリアに。
力押しに頼りがちなパーティにとってはまさに朗報。新戦力を加えた新生パーティは、サラマンドラの要塞へと向かいます。


風雲! サラマンドラ

往路は何ごともなくサラマンドラの要塞の前にたどり着くパーティ。彼らの目の前には入口がポッカリと口を開けています。見張りくらい立ってると思ったんだけど。
で、さっそくエッちゃんの出番です。するりと入口に入り、影を盗むようにして先行していきます。
折れ曲がった道を進むとそこは三叉路。道のぶつかったところにサラマンドラ3体がヘルハウンド2匹を連れて張っています。
三叉路の手前でどうしたものかとたたずむエッちゃん。しかし、こういう時の僕たちの流儀は決まってます。相手が騒ぎ出す前に全員倒しちゃえばいいんだ! なし崩し的に戦闘に入りました。
一応こっそり近づいてから見張りに襲いかかるパーティ。エッちゃんは影から影へと飛び移りながら見張りたちを切り刻み、他の面々も遅れじと襲いかかります。
ほどなく見張りたちを討ち果たしたパーティですが、やっぱり力押しが過ぎたようです。全滅させる前に警報を鳴らされ、三叉路の両側から走り寄ってくる足音が! たちまち挟み撃ちにされてしまいました。
やってきたのは見張りよりも大型のサラマンドラに、炎の塊のような怪物。サラマンドラが召喚したファイヤー・エレメンタル*1です! 今回のシナリオ、火属性大盤振る舞いらしいです。
侵入者を焼き殺せと、サラマンドラは《ウオール・オブ・ファイア》の疑似呪文能力を発動。右にも左にも炎の壁を作られて、ジリジリ両面焼きにされる冒険者たち。
それでも果敢に殴りつけ、《アイス・ストーム》の呪文でサラマンドラたちを凍り付かせます。奮闘数ラウンド。1名の捕虜を残して迎撃部隊を壊滅させました。


その後、生き残った捕虜から要塞の構造や宝のありか(重要)、捕虜がどうなったのかを尋問し、地階にある鍛冶場でデズモドゥたちはこき使われていることを聞き出しました。
どうも、地下の鍛冶場がクライマックスの場くさい。再びエッちゃんが先行して、鍛冶場へと降りていきます。


ズキュゥゥーン!

鍛冶場ではデズモドゥの使節団が鎖でつながれ、強制労働の真っ最中。その周りではサラマンドラの群が見張りに立っています。
そしてその奥には巨大な炉と、その前にひときわ大きなサラマンドラ。巨大なファイヤー・エレメンタルを相棒に金槌を振るっています。
また炎大盤振る舞いのサラマンドラがゾロゾロ……。これは頭を素早くつぶすしかないと結論に達する冒険者たち。とにかく、あのでかいファイヤー・エレメンタルはまずい。
エッちゃんにはそのまま物陰に潜んでいてもらって、他のメンバーは《フライ》で上から強襲。ボスと雑魚の間に《ウオール・オブ・フォース》を張って、隔離してしまおうとか色々作戦を立てました。
そしてついにラストバトルの火ぶたが切って落とされた!
結果は。
瞬殺。
いや、冒険者がではなく、サラマンドラ・ボスが。
戦闘が始まった途端、身を潜めていた場所から《フライ・ポーション》の効果で天井まで跳び上がるエッちゃん。
抜く手も見せずに弓に矢をつがえ、サラマンドラ・ボスにただ一撃。
サラマンドラ・ボス、迎撃のためにイフリート*2まで召喚したのに、眉間を打ち抜かれて死亡。暗殺用の魔法の矢の威力です。
「ワン・ショット ワン・キル。
報酬は指定の口座に振り込んでおいてくれ」
『仕事』をこなし、静かに弓をおろすエッちゃん。
「恐ろしい女だ。Miss.E……」
いとうたかお風味で呟く残りの面々でした。


いきなりサラマンドラ・ボスを殺された敵方は、もうてんやわんやです。オーナーを殺されたイフリートは来たばかりだというのに炎の次元界へご帰還し、でかいファイヤー・エレメンタルは《マジック・サークル・アゲインスト・イーヴル*3》に行く手を阻まれて右往左往。ボスを失ったサラマンドラたちは蜘蛛の子を散らすように逃げだし、冒険者たちはあっさり敵の掃討に成功したのでした。
今回も激戦必至と思いきや、ラストバトルを意外なあっさり風味でクリアした面々。
とらわれのデズモドゥと共に村に帰ってくると、バーンダーさんが感謝しつつ、こんなセリフを……。
「実はのう。ドロウ・エルフの廃墟にビホルダーが住みついてしまったそうなんじゃ。
あんたたち、退治してきてくれんかの?」
またかーっ!!


(to be continued)

*1:ファイヤー・エレメンタル:火の次元界にすむ精霊。知能はないに等しいが、殴ると熱いは殴られても熱いはで大変な敵。

*2:イフリート:いわゆる炎の魔神。召喚主の願いを叶えてくれるが、性格が曲がっているため、しばしば願い事を曲解しようとする。

*3:《マジック・サークル・アゲインスト・イーヴル》:いわゆる結界を張る呪文。異次元からの来訪者などが侵入できない円形の力場を作り出す。